第15回大会では、企画セッションを以下のとおり開催いたします。
多くの方のご参加をお待ちしております。
なお、研究発表の申込みについては、以下のリンクをご参照ください。
→ 2026年(第15回)年次大会
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2026年9月27日(日) 大正大学 巣鴨キャンパス(東京都)にて開催
セッション1(個人研究報告)
セッション2(個人研究報告)
企画セッション(研究活動委員会企画)
テーマ「同一性をめぐるメンテナンスの政治」
報告者:
Ⅰ 水田 綾奈(横浜国立大学)
Ⅱ 志水 洋人(上智大学)
Ⅲ 清水 拓(早稲田大学)
Ⅳ 難波 美芸(千葉大学)
司会:
伊藤 嘉高(新潟大学)
立石 裕二(関西学院大学)
趣旨:
道路陥没と水道管、大学の実験装置と技術職員の退職。誰が書いたか分からない基幹システムのプログラム。近年、維持・修復(メンテナンス)の領域に、熱い視線が集まりつつある。維持とは単に元の姿を守ることではない。手を入れなければモノは同じであり続けるどころか崩れていくのだから、「変わらずに在りつづけている」ことのほうが、じつは日々の労働によって産み出される達成なのである。ここまでは、すでに多くの論者が語ってきた。
そして近年の研究は、この達成の内側に、もうひとつの作業が隠れていることに気づきはじめている。すなわち、何が〈同じ〉なのかを、そのつど立ち上げていく作業である。この問いに、あらかじめ答えがあるわけではない。連続しているのか、変わってしまったのか。その区別は、点検し、手を入れ、規格をそろえ、記録し、語り継ぐという、人間と非人間による具体的な作業によって事後的に立ち上がってくるのである。そして、そこには常に権力が伴う。ある存在の関与が〈同じ〉を確固たるものにし、別の存在の関与が顧みられないまま退けられる。このとき、連続性の産出は、同一性をめぐる政治となるのである。
本セッションが照らしたいのは、この「区別が生まれる現場」である。議論の焦点を、あらかじめ三つの問いに絞っておきたい。第一に、同一性の単位。維持の実践において、何が〈同じ〉を立ち上げているのか。物質か、機能か、規格か、記録か、記憶か。第二に、〈同じ〉を成り立たせる連関と労働の配分。その同一性は、どのような存在の、どのような(しばしば数え入れられない)エージェンシーによって決められ、支えられ、そのエージェンシーはいかに評価され、評価されずにいるのか。第三に、時間と終わり。何を、いつまで同一にし続けるのか。手放すこと、畳むこと、終わらせることは、維持の失敗なのか、それとも維持という営みの一部なのか。
もっとも、「同じか否か」という問いは、いつでもどこでも問われているわけではない。規格化、文書化されることなく、状況に応じた反復によって続いてゆく営みもまたある。生成変化する作業と標準化の作業とが、別様に取り結ばれているのである。そして、この取り結びが組み直されるとき——連続性が監査可能な同一性へと書き改められるとき——、そのプロセスは、善し悪しの判定も含めて、政治的になされるだろう。
セッションでは、まず水田綾奈会員から、維持・修復をめぐる国内外の研究動向を踏まえ、論点を整理いただくとともに、エレベーターのメンテナンスの現場を取り上げていただく。続いて、志水洋人会員からはヘルスケアAI・ロボティクスの研究開発現場を、清水拓会員からは合理化政策下の炭鉱の労働を対象に、上記の問いに迫っていただき、最後に、難波美芸氏にラオスの流れ橋などの事例を取り上げ、ここまでの報告を逆照射していただく。討論では各報告を相互に突き合わせながら、〈同じもの〉が判断され産み出される過程そのものを記述する方法について考えたい。それは、インフラの老朽化、専門知と技能の継承、世代を超える責任といった、科学社会学が抱えてきた課題を捉え直すための共通の足場となるはずである。
終了後 懇親会を予定しております。あらためてご案内しますが、ぜひご予定ください。